2007年11月23日

飛ばない竹トンボ

 もう10年と言わず、竹トンボを買うことなど無かったのだが、

 ゆびとんぼと較べて見ようと、今日、伝統工芸士もいる竹工芸の店で、伝統玩具のコーナーにあるのを買った。

 50円。軸長18センチ・翼長15センチ。見事に誉めたい位飛ばない。

 精々2メートル、それもふらつく。子供の手ではそこまでも無理だろう。

 画像のように、軸の取り付けが限度を超えて、誰がみても分かるまでに、垂直から外れている。これでは、どうやってもダメだ。

 これを、そう呼んでは竹トンボが可哀想。

 ネット通販で売られているものも、この程度が大半だ。

 こんなものが「竹トンボ」と言われては、竹トンボの普及に努力する人達の苦労も水の泡。

 それでスーパー竹トンボという物が、確か30年近く前だったと思うが、故秋岡芳夫氏(工業デザイナー)の提唱で、作られるようになった。

 飛行機のプロペラを参考に、裕にに10メートルを超え、飛行時間も10秒以上と、それまでの土産物の竹トンボをはるかにしのぐものが、生み出された。

 いま竹トンボの普及をされる皆さんは、大体この方式をすすめているようだ。

 物言えぬ故人にあれこれはどうか?とは思うのだが、彼は子供達に、自らものを手で作り出すことの意味を伝えたいあまり、幾つかの見誤りをしたように思う。

 長く高く飛ぶ、高性能。それにはかなり高度な工作技術と時間(画像の物程度でも最低30分)が必要だし、その頃には日本人の生活用品の中から、竹は姿を消し始めていた。

 身近な物で、空を飛ぶ、子供なら間違いなく眼を輝かすものを作る、これにはとても大きな意味がある。
 だが、それを今の子供達に、竹を素材と限定して勧めても、そう拡がるようには思えない。

 特に好奇心の塊の、幼児にこそ伝えてゆくのに意味があるのだが、そうした子の親の、竹への忌避感、危険性への不安はとても大きいし、形も大きすぎ扱うのに無理がある。
 両手での操作を当たり前にしてしまって、握る、掴むから始まる、こどもの動作の発達を促すきっかけをみずから閉ざしてしまった。

 そして世界の子供達にとっても興味深く、遊びとしても教材としても意味あるものを、竹に限定してしまうことで、伝えにくくしてしまう。
 
 画像の竹トンボは、撮影の後、軸の取り付けを修正し、翼を少し薄くした、これで多少は飛ぶようになった。

 それでも3〜4メートル。隣の全長半分以下のゆびとんぼと同程度だ。


 秋岡氏の、子供の興味を集める竹トンボ、その意図には大きな意味があった。だが生み出した形は、どうも記録にこだわる袋小路への道具となってしまったように思う。

 興味深く幾度も読んだ氏の「竹トンボからの発想」・講談社ブルーバックス
は現在絶版。
 ウィキペディアの竹トンボの歴史については、同書からの引用。

  
Posted by ゆびとんぼ at 09:51Comments(0)TrackBack(1)日々あれこれ